中国不動産バブル崩壊説を疑え!本格的な不動産バブルは存在せず
by西河 豊 on 2013/1/25
中国デジタルアーカイブス VER2-16 中国不動産バブル崩壊説を疑え! その1
今回より数回にわたり、中国では不動産バブル崩壊現象というのは起こらないという私の論を述べます。これは、以前、このコラムで掲載した、中国での儲けは日本に持って帰れるのか?と同じく顧客より多く受ける質問です。
中国本を見ると、改めて「中国バブル崩壊説」をうたった本が多くあります。しかし、2000年以降(中国の経済成長率が顕著になり始めたころ)からうたわれているその状況は一向に起こる気配がありません。
ひどい中国本になると、2011年までに中国バブル崩壊とクレジットしておいて、その年が過ぎるとほぼ同様の内容で、2015年までに中国バブル崩壊というクレジットで出版されています。こういう本がもてはやされる背景として、日本人の「他国の不幸は蜜の味」的な気持ちがあることも認識しておいた方がいいと思います。
ここで、バブル崩壊のバブルを定義しておきます。バブル・・・実体経済より乖離して資産価値が膨張した状況で、その後急速に資産価値が低下することから中身のない泡の様子に似ていることからこのように称される。とあります。「実体経済より乖離して」というのが重要です。
そして、そのバブルを膨張させる要因はというと、金融の信用倍率を上げた融資(貸し込み)でなのです。わが国のバブル発生とその崩壊も金融機関がまさにその役割の一端を担いました。
よって、注意して欲しいのは、経済の後退は、ありえても、それは経済自体が後退・縮小するということで、バブル崩壊という膨れすぎのリワインド現象ではないということです。中国とて、今の経済成長率が何時までも続くことはありません。
バブル崩壊が中国で起こらない要因を5つの視点から述べます。ここで、私の結論から、先に述べておきます。そうしないと読みづらい箇所があるからです。私の結論は、中国には崩壊すべき、本格的な不動産バブルが醸成されていない。と言うものです。エコノミストにもこの論をとる人は少数派ですがいます。
この考えをベースに次回より
視点1 中国は、定期借地権であり、収用権は国家にある!
視点2 一般市民も「牛」と「熊」には慣れっこ!
視点3 不動産規制の金融統制はすでに、完了している!
視点4 中国の資本家は不動産収入などあてにしていない!
視点5 都市計画が地方政府の卸売り状況である状態から国家統制に変わる!
という5つの視点で中国の事情を見ていきます。